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やっぱりやめる。

今住んでいる家は、街灯もない山道(舗装されてはいますけど)を20分ほど登ったところにある一軒家。家は大きいし、ベッドルームからは湖が見えるし、庭は広く、夏にはいろいろな花が咲く。隣の家も離れているし、静かで、プライバシーは完璧。自然に囲まれた申し分のない住まい... のはずなのですが、コインに裏と表があるように、こんなステキな環境にも問題があります。それは、街から遠いこと。


スーパーもむすめたちの学校も、銀行も病院もすべて遠い。制限速度を超えた猛スピードで運転しても、30分、40分、へたすると1時間。行ったら帰らないといけないので、ドライブ時間はその倍。突然ショウガがない!と気づいても、あきらめるしかない。さらに、庭の花の水やりやら芝刈り、木々の剪定、冬は雪かきと、家の世話に多大な労力と時間がかかります。2年ほど暮らして気づいたのは、わたしたちは東京から来た身。カナダの庭つきの大きな家の世話はムリ、ということ。


そこで、せっかく買った家だけど手に負えない、手放そうと売りに出すことに。すると3日で買い手がつき、1週間後には引き渡しの日(つまり、家から出なくてはいけない日)まで決まってしまいました。あまりのスピードに焦りましたが、ダウンタウンにすてきな家を見つけていたので、まあいいかと。その家に住む気満々で2回ほど中を見せてもらい、どの部屋に何をおくとか、誰がどこのクローゼットを使うとか、毎日のように家族で話あっていました。


ところが。不動産屋さんを通して値段の交渉に入ったら、なんと。先方はいきなり「やっぱり売れない」と言うんです。即入居できます!ということで出していたはずなのに「やっぱり売れません。もしかして来年になったら...」と取引きはおじゃんに。住もうと思っていた家が消えてしまいました。さらに、今の家は3週間後には出ないといけないので、住まい探しが一気に大きなプレッシャーに。それにしても、なんてメーワクな人たちなのかしら...?


あの家のオーナーさん。住まいを売りに出す。買いたいという人が見にくる。ここまでは大丈夫だったのでしょう。ただ、値段交渉のオファーをかけられたあたりで、一気に「手放しへの恐怖」が生まれてきたのに違いありません。売れるとわかったとたんに、売ることへの興味が薄れるのはよくあるそうですが、そこには、人間の脳特有の「変化を恐れる気持ち」が根づいてもいるのでしょうね。わかるけど、本当に、迷惑!


今回感じた数字は5と9。

変化に強く、それをあたりまえのように受け入れられるのは、バランスのいい5。

手放すこと、終えること、去っていくことを恐れないのは、バランスのいい9。

変化を受け入れず、家を手放さなかったオーナーさん夫婦は、5と9を持っているはず。そしてしばしば、数字の不具合に見舞われているのも間違いありません。



こんな広い庭のお世話は、わたしたちにはできなかった。10月なのにもう雪のカナダ。




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